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漫画家マキヒロチに聞く【後編】「誰かのちょっとした楽しみの1つになれば。それがわたしの描く理由」連載:大人の学び 第4回

2017/7/22 11:31 ネタりかコンテンツ部

私たちは、日々何かを企画しながら生きています。

新しいイベント、月末の旅行のプラン、今日の晩御飯のメニューetc……。仕事はもちろん、日常生活の中でも「企画」をする機会は訪れます。だからこそ、企画を特別なものとして距離をおくのではなく、自分の人生をちょっと良い方向に変える手段として捉えてみる。そうすることで、少しずつ変化は起きていくのかもしれません。

 

「自分はこれから何をして生きていきたいか」、「自分はこれからどんな世の中をつくりたいか」。これらをテーマに、コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する講座が「企画でメシを食っていく」(通称・企画メシ)です。

 

各業界の現場の第一線で活躍される方たちをお招きして「企画」の捉え方・考え方について伺っていく企画メシ。こちらの連載では、「大人の学び」をテーマに、自分の人生を企画していくためのヒントをお届けしていきます。

 

今回のテーマ:「物語」(後編)

 

※前編はこちら

 

話し手(写真左):マキヒロチ

第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。リアルな人間模様を描いたストーリー漫画から、高級時計の専門漫画、ギャグエッセイなど幅広いジャンルで活動中。現在、月刊コミック@バンチ(新潮社)にて『いつかティファニーで朝食を』 、ヤングマガジン サード(講談社)にて『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』など連載中。

 

聞き手(写真右):阿部広太郎

1986年生まれ。2008年、電通入社。人事局を経て、コピーライターに。「世の中に一体感をつくる」という信念のもと、言葉を企画し、コピーを書き、人に会い、つなぎ、仕事をつくる。東京コピーライターズクラブ会員。宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」講師。

世の中に企画する人を増やすべく、2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を立ち上げる。初の著書『待っていても、はじまらない。―潔く前に進め』(弘文堂)を出版。

 

※本連載は、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」(通称・企画メシ)における講義内容を、対談形式に再編集したうえで一部内容をネタりかにて補足したものとなります。

企画メシ:http://kikakumeshi.jp/

大人のための街のシェアスペース・BUKATSUDO:http://bukatsu-do.jp/

 

想いを燃やし続けること、「憧れ」へのスケジュールをきちんと引くこと

 

阿部:マキさんが漫画家としての手応えを感じはじめたのは、4年前に『いつかティファニーで朝食を』という作品を刊行された頃ということでしたが、それまではけっこう苦しい時期が続いてたんですか?

 

マキ:あぁ、もうそれはほんとに苦しくて。20代の頃は「年に何回読み切り載るんだろ……」みたいな状況のまま、ずっとアシスタントやってたんです。

それでも「辞めよう」とは思わず、何者かにはなれるのかなって感じでずっと続けてて。まぁ最初から、アシスタントでもいいなって気持ちがあったからだと思うんですが。

 

阿部:ただ、アシスタントのお仕事をこなしながら、自分の作品に取り組む時間を見つけて描き続けるっていうのは、時間的にも労力的にも相当大変なことじゃないですか。それでも続けられたっていうのは、やっぱり「自分の作品を描きたい」「それを残したい」って想いがずっと燃え続けてたからですよね。

 

マキ:そうですね。あとはやっぱり、人に恵まれてました。スパルタだったけどずっと気にかけてくれてた担当編集さんとか、実際にお世話になった漫画家の先生方とか。

あと、わたし安野モヨコさん(※代表作『ハッピー・マニア』『働きマン』など)のことが大好きで、ああいう風になりたいなっていうのがずっとあったんです。だから安野さんの年表と自分の現状を比較して、「安野さんは◯歳のときにこの作品を描いてたんだから、わたしもそこまでいかなきゃダメだ」っていうのをすごく意識しながら漫画を描いてました。

まぁ、浅野いにお君(※代表作『素晴らしい世界』『ソラニン』など)のせいで、そのときのスケジュールは途中で完全に崩れちゃったんですけどね。(笑)

 

阿部:憧れの存在を意識というか、そうなるためのスケジュールを具体的に引くことは、とても大事ですね。

 

チャンスが実際に来たとして、その準備は本当にできているのか

 

阿部:あと大事なことといえば、やっぱり若いうちにいろんな経験を積むこととかですかね?

 

マキ:それで言うとわたし、若いときにめっちゃお金を使ってたんですね。だから、今の若いアシスタントの子たちがせっかく地方から上京してきてるのに全然遊んでないのが、個人的には不思議なんですよ。まぁ自由に使えるお金も限られてるからっていうのは大きいと思うんですけど、せっかくの環境なのにすごくもったいないなって。

 

阿部:東京にいることの意味、のようなものですかね。

 

マキ:やっぱり今ってインターネットがあるじゃないですか。だから、わざわざ東京にいる意味があるとしたら、一番は毎月の編集さんとの打ち合わせとか取材とかになると思うんです。でも、それ以外の時間はもう遊び倒せばいいのになって。

 

阿部:うーん、お金や考え方の問題もあるので難しいところですが、仰りたいことはわかるような気がします。

 

マキ:わたしの20代のときって、年に数回読み切りが載る程度だったんですけど、けっこうリボ払いで旅行行ったり服買ったり美味しいもの食べたりしてて……。

もう自分の欲に、まったく逆らわなかったんですね。だからこそ、それが今ホント財産になってるなぁと思ってて。だって20代でしかできない旅行とか遊びとか、その当時しか食べられなかったグルメとか、たくさんあるわけじゃないですか。そういうことに関してお金を惜しまず使ってきた結果として積み上がった経験が、全部今につながっていると思うので。

 

 

阿部:マキさんは若い頃のお金の使い方には、後悔はまったくしていないというわけですね。

 

マキ:はい! まぁ、アシスタントさんに払うお金が足りなくなっちゃって家族にお金借りるようなこともあったので、あまり胸を張れるような生き方ではなかったと思うんですが……。

 

阿部:そ、それはなかなか……。マキさんってほんとうに誇張抜きでお金使ってたんですね。

 

マキ:そうなんですよ。給料日前の1~2週間はホントに貧乏で、近所のスーパーの安くなったコロッケしか買えないような生活を送るんです。でも給料が入ってカードの限度額が解除されると、また遊んじゃうんですよ。そういう生活を繰り返してました。

ただ、今思うとダメなことかもしれないんですが、自分がそういう風なことをやってきてたからこそ、急にグルメ漫画の話が来たときでも「わたしあそこ好きです、ここ好きです、それ知ってます」とかが言えるわけで。もし言えなかったらこのチャンスなかったなって思うと、やっぱり全部がつながってるわけですね。……やっぱり、キレイごとですかね?

 

阿部:いやいやいや、そんなことないですよ。でも、そういう山あり谷ありが活かされてこそのクリエイティブ、という面はたしかにありますよね。

 

マキ:今の若い人たちを見てると、お金は大切にしてるし悪いこともしてないし立派だなとは思うんですが、じゃあチャンスが来たとき大丈夫かなっていうのは、どうしてもあるんですよね。

 

阿部:チャンスに備え、興味のあることとかは積極的にやっといたほうがいいっていう話ですよね。自分のやりたい仕事につなげられるように。

 

一緒に走ってくれる仕事のパートナーには、「自分はこれが好き」というものを持っていてほしい

▲マキさんがイラストを手がけた「コダワリルフォン」 http://www.lefond.jp/kodawaricampaign/

 

阿部:漫画家さんといえばやはり担当編集の方と一緒に作品をつくっていくというイメージが強いのですが、マキさんの中で「この人と一緒に仕事をしたい」「この人とはしたくない」などの基準はありますか?

 

マキ:「マキさんはこういう方なので、こういうことをやってください」というご提案をいただくのはありがたいのですが、それって一歩間違えると「同じことをまたやってください」という提案になってしまいますよね。そういうのがあると、やはり「この人とやって大丈夫かな?」と不安になってしまいます。

もっとこう深く自分を見てくれてたんだっていう驚きをくれる人というか、自分の予想を超えたチャレンジの機会を与えようとしてくれる人のほうが、仕事相手としては魅力的に感じます。

もちろん漫画家さんもいろいろなので、わたしみたいに毎回違うものをやりたいという人もいれば、同じジャンルで深くやりたいという人もいるので、一概には言えないんですが。

 

阿部:前回「いまだにグルメ漫画の新連載をよく提案される」というお話をされましたが、すでに連載中の作品と同じジャンルであってもたくさんオファーは来るんですね。

 

マキ:やっぱりグルメがそれだけ手堅いジャンルだというのはあるんでしょうね。ただ、よく知らない相手からのそういうオファーだと、内容ではなく新刊の帯のイメージありきなんだろうなと思ってしまって。

 

阿部:帯?

 

マキ:「◯万部突破の『いつかティファニーで朝食を』の著者・マキヒロチの描く新しいグルメ漫画の世界!」みたいな。本編よりその帯で読者を増やしたいんじゃないかなって。

ただ、なんというか、それだと“一緒にやりたい”っていう気持ちをその人自身からは見い出せないんですよね。

それよりは「当たるかどうかわかんないけど、一緒にやりましょう!」っていう、その人の「これが好き!」っていう気持ちがやっぱり欲しいので。多少無茶ぶりでも、熱意のある提案をもらえたほうが嬉しいですね。

 

 

阿部:人にもよるとはいえ、相手の人物像を履き違えた提案をしてしまうと、その先にはつながらないですよね。

 

マキ:そうですね。どんなお仕事でも「なんか、この人ちょっと違うから会いたくないな」って思われたらアウトでしょうから。わたしのことすごく調べてくれたんだろうなって人でも、やっぱり「わたしが思うマキさんはこうですから!」っていうのが実像とあまりに離れてると、会いたくはなくなりますね。

実際は相性とかの問題も絡むと思うのでいろいろ難しいんですが……。ただ、やっぱりどんな提案であっても「自分はこれがすごい大好きなんで!」というのが乗っかってくれば興味は持てるでしょうし。そこがなんというか、保険じゃないですけど、「この人、これがすごい好きだからこう言ってきてくれたんだ」と思わせてくれればいいかな、と。

 

阿部:やっぱり一緒に熱くなってくれるパートナーというか編集者だと、そっちのほうが嬉しいですよね。人柄というか、そういう人間性への興味を持ってもらって、企画が進むこともたくさんあるでしょうし。

 

マキ:そうですね。今度連載スタートする「Tシャツ」の企画も、グルメ系のオファーがたくさん届く中で、ぽんっとその担当編集さんから「マキさん、Tシャツ好きですよね! Tシャツやりましょうよ!」って来て。それがなんかすごく光り輝いて見えたんですよ。

 

阿部:それでは、アシスタントさんの場合ですと、どんな人が望ましいのでしょうか。

 

マキ:まぁアシスタントさんに関しては、個人的にはドライな関係のほうがいいかなってぐらいですかねぇ。もちろん、技術的なところでは、背景が上手い人、モブを描くのが上手い人、とかバランス良くシフトをあてられるようにしてますけど。

 

阿部:やはりそこはチームワークというか、チームとしての力を考えますよね。

 

マキ:子供の頃、アメコミって1つの作品をすごくたくさんの人で分業して描いてるって聞いたとき「すげぇな、よくできるな」って思ったんですけど、今はもうそれじゃないと絶対回んないなって。今は、画はもちろんですけど、資料とか情報集めとかもみんなでやってますね。

 

やりたい仕事をやるためには、伝えること・行動すること

 

阿部:ところで、マキさんは「自分がやりたい仕事」ってどうやって取ってくるんですか?

 

マキ:わたしの場合、やりたいことは明確に口で言ったり行動したりしてるんですね。

たとえば『ツイン・ピークス』っていう大好きなドラマの新シリーズがアメリカで放映されることになったとき、放映開始40日前から毎日登場人物を描いてTwitterにアップするという企画を自分で勝手にやってたんですよ。

それで最後に「勝手にやってました」みたいなことを書いたら、WOWOW(※日本では同局で独占放送)の人がわたしを見つけて「日本放映のときもやってください」って仕事をくれて。

 

 

マキ:映画の感想とかもちょこちょこ書いてると、やっぱり映画の仕事がちょこちょこ来ますしね。あと、自分の漫画にコネタとして自分の好きなモノを出したりしてると、「マキさん、あのコマにこれありますけど好きなんですね」って見つけてもらって仕事が来たり。

 

阿部:誰かに届ける・見つけてもらうことで次につなげられると。

 

マキ:はい。もちろん編集の人にも「こういう仕事がしたい」っていうのは伝えてます。だから人間、やりたいことをやるためには、やっぱり言ったり行動したりっていうのが大事だなと。

 

阿部:そんなマキさんが、この先やりたい企画っていうのは何かあるんですか?

 

マキ:あ、もうそれは明確で、わたし今オリンピックにしか興味ないんです。

もともとオリンピックが大好きだったのと、自分が生きてるうちに自国開催というのは二度とない機会だと思うので、これはぜひやりたいなと。だからいろんなところで「やりたい! やりたい!」と言ってます。

スポーツ漫画を描くにはわたしの画力では足りないと思うのですが、たとえば建築とか人間模様とか、違和感なく無理なくやれる何かを何でもいいからやりたいなって。その可能性を探っている最中で、9月にはブラジルにも行ってきます。

 

阿部:なるほど。やっぱりマキさんの行動力というか、仕事に結びつける力はすごいですね。

 

SNSが当たり前の時代だからこそ、セルフ・ブランディングは注意したい

▲マキさんのTwitter(@makihirochi)

 

阿部:今ってSNSがあることによって、クリエイターでも作品だけでなく、見られ方というか、セルフ・ブランディングを考えないといけない時代じゃないですか。その辺についてはどう思われますか。

 

マキ:そうですね。なんか「え、この人すごく頭いいし、すごい素敵なのに、なんで無駄に絡んだり炎上したりするんだろう」みたいなのをよく見かけますし、あんまり本人が露出しなくても十分面白いのになぁみたいな人もいるし、難しい時代だなと思います。

 

阿部:SNSによって得する人・損する人はたしかにいそうですよね。その人自身が前に出すぎちゃってるせいで、作品は本当にすごくいいのに、なんというか入り口で損をしているケースも多そうです。

 

マキ:その作家さん自体のキャラクターに飽きがきちゃうんでしょうね。面白い漫画なのに、なんかまぁいいかな、買わないでおこうかなってなる気持ちはわかるので。ほんとセルフ・ブランディングは難しいと思います。

 

阿部:どう見られたいか、どう伝えたいかってみんなが考えなきゃいけないですもんね。ただ、マキさんも先ほど「やりたい仕事がTwitter投稿をきっかけに獲得できた」みたいなお話をされたように「発信」のための手段としての役割は大きいと思うんです。いわゆるバズ漫画は何十万RTもされますし。

 

マキ:これも難しいところなんですが、バズる漫画ってそれ自体は売れないから、お金にはならないじゃないですか。実際にいわゆる“バズる漫画家”さんの話を聞いていると、バズらせるための漫画を描くのは漫画家として売れてない時期じゃないと無理だな、と思います。

バズれば知名度は上がりますが、それで漫画が売れるわけではない。知ってもらうためにはいいんですが、ゴハンを食べるためにとなると、Twitterでバズる用の漫画を描くというのは違うかなと。だから、今のわたしがバズることだけを目的とした漫画をやる必要性はないと思っています。

 

阿部:知名度と売れるは違う。たしかにそうかもしれません。

 

マキ:Twitterで好きになってもらったら、次はコミックでも雑誌でもweb連載でもいいので、ちゃんとお金になるように仕向けていかないといけません。わたしが個人の投稿からお仕事のお声掛けをいただくのも、あくまできっかけですからね。

 

阿部:そんなマキさんが“売れた”という手応えを感じるのは、どんなときなんでしょうか。

 

マキ:まずは数字ですね。「◯万部売れました」って言われると、あぁそれだけ作品が認知されてるんだって素直に思います。あとはなんというか、TwitterなどSNS上での投稿を見ることで反応を実感したり、担当編集さんの話を聞いたり、広告など違うメディアのオファーをいただいたりとかですかね。

ただ、なんというか「漫画家として売れた」とかは自分で意識するものではないと思っているので、手応えという意味ではやっぱり数字以外ないでしょうね。

わたし、いまだにWikipediaに項目ないんですが、つくってほしくもなくて。あんまり個として売れてほしくないというか、作品がすごい売れてても本人像と結びつかない漫画家でいたいというか。本人がどんな人かよりも、作品だけが前に出てるような漫画家でいたいですね。

 

誰かの個人的な楽しみになってくれれば。それが漫画を描く理由

▲マキさん自身のwebサイトである『マキヒロチウェブ』

 

阿部:では大きな質問になるのですが、マキさんにとって「漫画」とは、どういう存在でしょうか?

 

マキ:わたしにとっての漫画……何ですかね、何だろう……。

友達の“輝いているけど埋もれた一瞬”をスクリーンに映し出すような存在であったり、お世話になった人に対する恩返しのような気持ちのものであったり、外の人との接点であったり……。何ですかね、ありすぎてわからないですね。

1つだけ挙げるとしたら……「愚痴の捌け口」ですかね……。

 

阿部:でもマキさんの作品は、「愚痴の捌け口」でありつつも、読む人の心が軽くなったり明るくなったりする物語になっていますよね。僕はそこがすごいなって思っています。

 

マキ:そうですね、でも昔は「ほんとにわたしの漫画読みたい人なんかいるのかな?」っていう疑問のようなものがずっとありました。

 

阿部:そこはクリエイターなら誰もが一時期は抱える疑問ですよね。

 

マキ:わたしはその時期に、お世話になっていたスパルタな担当編集さんから言われた一言があって。もう10年ぐらい前になるんですが、ずっと胸に刺さっている言葉があるんです。

「マキさんは、自然に誰かがわたしの漫画読んでくれるだろうって思ってない? あのね、今、マキさんの漫画なんかこの世で誰一人読みたいと思ってないんだよ。それをちゃんと理解しなきゃ。そのうえで、ちゃんと読者が何を読みたいか考えて、一人ずつ振り向かせていくことをしないと」

これ、言われたときは本当にびっくりして、「この世に誰もわたしの漫画なんか見たい人いないんだ! 目の前にいる、わたしの味方だと思ってた担当編集さんでさえ……!!」って思ったんです。

 

阿部:それはけっこうキツい経験でしたね。

 

マキ:いえ、違うんです。その一言のおかげで、頭がすごくクリアになったんです。

「なんで見てくれないんだろう?」っていう疑問の答えは、「見たい人がいなかったから」だった。それがすごく腹落ちして、それ以降は読者のことを意識できるようになったんです。

 

阿部:なるほど。

 

マキ:だから本屋さんや友人やSNS上の反応が届くようになってから、ようやく「わたしの漫画が読まれてるんだ」という実感を持てるようになりました。それはさっき質問いただいた「売れた」とはまったく違う感情です。

特に最近は、自分の漫画を発売日に買ってくれて、普段よりいい店でリラックスしながら読んでますというような投稿を見かけるのが、本当に嬉しいんです。

ちょっとしたお祭りというか、フェスとかイベントとかで「もうすぐ◯◯だ!」とか思うと、生活にちょっとハリが出てくるじゃないですか。だからわたしの単行本も、出る直前にはわくわくしてもらえて、「じゃあ明日会社帰りに買おう」とか思ってもらえるような、そういう行事というか、誰かのちょっとした楽しみの1つになってくれるといいなって思いながら描いてます。

 

阿部:ではマキさんの企画や創作の源泉は「怒り」ですが、それをする理由というのは、最終的には「誰かの個人的楽しみをつくること」になるんですかね?

 

マキ:そうですね。もともと小さなサプライズとかパーティーで人を喜ばせることが好きだったので。

ライブ誘ったり旅行計画したりとかも含め、やっぱり「自分のために誰かが何かを企画してくれた」っていう、そういうことで人は生きていける気がするので、それはとても大事なことだと思います。

今だと、まだ友達には言えてないですけど、来年の旅行は海外で一軒家借りてそこに滞在しようとか。そういう計画の中で「どんな家借りようかなー」とか、そういう妄想しながら仕事するのが楽しいんですよね。

 

阿部:「みんなで楽しいことをやろう」っていう気持ちは、強くて大きなエネルギーを生みますもんね。本日はありがとうございました!

 

まとめ

以上、前・後編に渡ってお届けしたマキさんによる物語の企画術、ポイントをまとめると以下のようになります。

 

 

今回のお話から、あなたはどんな学びや気づきが得られたでしょうか。あなた自身の日々の企画に活かし、人生を“ちょっと良い方向”へと変化させるヒントになったなら幸いです。

 

それでは、次回の企画の話もお楽しみに。

 

<前編はこちら>

 

インタビュー:阿部広太郎 文:森川ヨシキ 撮影:秋葉康至 企画協力:企画でメシを食っていく(運営・BUKATSUDO)

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