【検証】怪談の「恐怖」は「かわいい」で中和できるのか?

2017/6/15 19:01 ネタりかコンテンツ部

「怪談×かわいい=無」になるのか、検証を行います。 「怪談×かわいい=無」になるのか、検証を行います。

 

ライターの宇内(うない)です。

 

もうすぐ夏本番。怪談の季節がやってきますね。

 

三度の飯より怪談が好きだという人もいるかと思いますが、怪談が始まると耳をふさぎながらダッシュで逃げてしまうくらい苦手な人もいるでしょう。ちなみに僕も大嫌いで、怪談を聞いてしまったら、3日ほどは風呂の鏡を見ないようにして過ごします。背後に気配を感じるから……。

 

 

今回は、そんな「怪談が嫌いな人」のために、こんな検証をしてみたいと思います。

 

 

怪談の「恐怖」は「かわいい」で中和できるのか?

 

 

つまりこういうことです。

 

 

怪談の「恐怖」に、自分自身が感じる「かわいい」を混ぜると、中和されて「無」が残る。つまり、「怖くもかわいくもない状態」になるのではないか、という仮説を確かめようという主旨です。

 

この仮説が証明されれば、頭の中をかわいいもので満たしておけば怪談は怖くなくなるという、怪談嫌いにとって有益な情報が得られます。

 

 

はたして、「かわいい」は「恐怖」を中和できるのか……!?

 

それではさっそく、検証に移りましょう!

 

 

この記事の後半では、実際に「かわいい」を混ぜた怪談を載せています。つまり、3の「怖くなくなっていたかを確認する」は読者のみなさんにお願いしたいと思います

 

 

怪談を聞かせてもらおう

まずは、怪談師・村上ロックさんに怪談を聞かせていただきます。

 

 

ロックさんいわく、「家の中だと、玄関がいちばん怖い」とのことだったので、今回は玄関で怪談を披露していただくことに。たしかに玄関って、夜中に何者かがドアをドンドン叩くとか、郵便受けから手が出てくるみたいな描写に使われる場所なので、言われてみれば不気味ですよね……。

 

 

玄関の明かりを消し、火を灯したロウソクを配置。怪談を売りに来たセールスマンみたいになりました。

 

「わかりやすくて、怖いやつをお願いします」とリクエストしていたのですが、このあと、要望通りの怪談を聞かせていただきました。いや〜、本当に怖くて、鳥肌が立ってしまった……。

 

 

参考までにまず、ロックさんの怪談フルバージョンを貼っておきます。苦手な方は以下、先に「恐怖」を「かわいい」で相殺する実験記事を読み進めてみてください。

 

 

怪談にかわいい画像を混ぜる

次に、ロックさんに聞かせてもらった怪談を文字に起こします。

 

読みやすくなるように調整したあと、その中に「かわいい画像」を混ぜていきます。

 

 

そして、ついに完成!

 

このあと、いよいよ怪談が始まります。

 

読了後、「怖い」が「かわいい」で中和されたか確認してみてください。

 

 

ここから怪談です

 

ある小説家の男性から聞かせてもらった話なんですけども。

 

この方、今から4〜5年前、本が売れて印税なんかが入ってきたもんですから、引っ越そうと思って、いろんな物件を調べていたら、1部屋、とってもいい掘り出しものを見つけたんですね。

 

場所は、東京・豊島区の椎名町。そこに建った新築のマンションに、1部屋空きがあったんです。この部屋、とっても家賃が安くて、小説家の男性、喜んでその部屋に越したんです。

 

越してきてみましたら、新築なので真新しい、設備なんかもしっかり整っている、と。非常に気に入ったんですけども、ただ、越して数日経ったあたりから、あることが気になり出したんです。

 

この方の部屋、リビングがあって、その隣を寝室として使っているんですけども、このリビングと寝室の境目あたりに、高さでいったらこれくらいでしょうかね。

 

 

これくらいの高さの、何段かに仕切られたラックが1つ、ポンと置いてある。このラックのあたりから一瞬、パチッと、光が見えることがある、と。

 

なんだろうな、と不思議に思ったんですけども、この小説家の男性、そういうことは気にするタイプじゃなかったらしくて、そのままほっといたっていうんです。

 

それから数日が経って、ある日の昼間、近所の散策に出かけたら、しばらく行ったところに1軒の古い定食屋さんを見つけた。おそらく、その土地で何十年もやっているお店なんでしょうね。入ってみましたら、老夫婦2人で経営しているお店だった。定食もおいしいし、とっても安かったので、非常に気に入って。それからは、頻繁にこのお店に通うようになったそうです。

 

老夫婦のおばあちゃんは、とってもおしゃべりが好きな方で、行くたびに話しかけてくれるんですが、何度目かに行ったときに、

 

「お兄ちゃんさ、あんた、最近よく来てくれるよね。この近所の人?」

 

と聞かれたので、

 

「そうなんです、僕ね、ほら、ちょっと行ったところにマンション建ってるでしょ。あそこ住んでるんです」

 

と答えた。その途端に、おばあちゃん、スーッと真顔になったんです。

 

 

「あんた、あそこに住んでるの?」

 

「はい」

 

「そこの何階?」

 

「僕、そこの1階ですけど」

 

「……あんたそれ、大丈夫?」

 

「えっ」

 

「なんにも知らないで住んでるようだけど、あのマンションの土地、あそこ50年近く更地だったのよ。あそこね、むかし大事件があった跡地なのよ」

 

そう言っているおばあちゃんの顔が、ものすごく真剣だったものですから、なんかちょっと気味悪くなっちゃって、

 

「ああ、そうなんですか。じゃあ僕、そろそろ時間なんで、行きますね」

 

って。そのままそそくさと店を後にしたんです。

 

で、そんなことはすぐ忘れてしまったんですけども、それから、さらに数日が経ったある日、この男性の彼女さんが部屋に遊びに来まして。2人で他愛もない話をしているときに、ふと例のラックのことを思い出した。

 

「そうだ、お前、何度もこの部屋に遊びに来てるだろ? ほら、気付いてる? あのラックのあたりから、なんか光が見えることがあるんだけど」

 

そう聞くと、彼女さん、真顔で、

 

 

「あんた、まだ気付いてないの? 私、あれ、何が光ってるのか見えちゃったんだけど」

 

って言うので、

 

「……そうなの? 何が光ってるの?」

 

と聞いた。そしたら彼女さん、語りだした。

 

その数週間前にもこの部屋に泊まりに来ていた彼女さん、夜中、トイレに起きまして、用を済ませて戻ってこようとしたときに、ちょうどこのラックの横を通りかかった。で、今まさに通過しようとしたときに、横から「パチッ」と、光が見えたんだそうです。

 

「あ、光った」って、反射的にその光のほうを見た。するともう一度、目の前で「パチッ」と……。

 

その瞬間に、何が光を発しているのか、ハッキリ見えた。

 

 

これくらいの高さのラック、上から2段目に、女の首が横向きで入ってたんです。

 

 

その顔が大げさでなく、ほんとに真っ青だったっていうんです。で、目をぐっと閉じたまま、ぐーーーっと歯をくいしばっている。

 

「えっ?」と思っているうちに、もう一度目の前で「パチッ……パチパチッ……パチパチパチパチパチパチパチッ……」って、何度も何度も点滅し出した。そのたんびに光の中では青白い女の顔が浮かび上がるんですが、やっぱり、目は閉じたままなんです。ただ口元だけが、ゆっくり動いている。

 

声こそ聞こえないんですけど、その口の動きで、なんて言っているかわかってしまった。

 

 

「い……や……だ……」

 

うわって思った瞬間に、その顔、ふっ……と消えたんですって。

 

 

彼女さん、この話を彼に言おうか迷ったんですが、彼はこの部屋の住人ですからね、気の毒で言えなかったそうです。

 

彼女さんから話を聞いて、この男性、以前に定食屋のおばあちゃんに言われたことを、ふと思い出した。

 

で、すぐパソコンを開いて、自分の家の住所を入力して、そのあとに続けて「大事件」って入れて検索したんです。そしたら、一発で出てきた。

 

この男性が住んでいるマンションの土地、帝銀事件の跡地だったんです。

 

 

帝銀事件は1948年、戦争が終わってまだ3年後の頃に起こった事件です。かつてその土地に帝国銀行という銀行が建ってまして。そこにある日の夕方、ある男が入ってきた。

 

「近所で伝染病が発生しました。大変危険ですので、みなさん予防薬を飲んでください」

 

って。その場にいた行員の方たちに薬をわたすんです。

 

信じた行員の方たち、それを一気にクッと飲んだんですが、これ、青酸化合物だったんですって。

 

非常に残念なことに、その場で12名の行員の方が亡くなってしまった。

 

この話の何が怖いって、これ、いまだに未解決事件なんですよね。

 

この事件を知った瞬間、小説家の男性、

 

「ああ、そうか。俺の部屋ではいまだに、あの事件でなくなった方が苦しんでるんだ」

 

って、そう考えたら怖くてなって、ガタンと立ち上がった。

 

「俺、もうだめだ、ここ引っ越すわ」

 

って、うしろに立っていた彼女さんのほうをクルッと振り返った瞬間、彼女さん、首をカクンッとやるんです。

 

 

そしてそのまま、

 

 

「い……や……だ」

 

そう言った彼女の顔、いつもの彼女の顔じゃなかったっていうんです。

 

 

この男性、すぐに部屋を引き払って違うところに越したんですが、後日、なんだか彼女さんとうまくいかなくなって、別れてしまったらしいんですね。

 

 

僕、この話を聞いて1つおかしいと思ったことがあるんです。

 

というのが、この男性が越してきたマンション、新築なんですよね。なのに、最初から家賃が安かった。

 

この部屋の前の住人が事件や事故でなくなったっていう“いわく”があれば、家賃が安くなることはあるんですが、そうじゃない。

 

ここ、建ったときから、安いんです。

 

 

おそらく、このマンションを建てているときから、工事に携わった業者が、何か見てたんじゃないかなって。

 

そんなことを思わせる話だったんです。

 

 

検証終了

要所要所に「かわいい画像」があることで、怖さもかわいさも打ち消され、ただ「無」が残ったのではないでしょうか? 僕は、「怖い」「チワワかわいい」「怖い」「やっぱりチワワかわいい」「怖い」「ねこもいいねぇ」と、思考が迷子になるのを感じました。みなさんは、いかがだったでしょうか?

 

今回、怪談を聞かせてくれたロックさんによると、怪談は文字にすると怖さが薄れてしまうとのことでした。というわけで、動画版も作ってみましたので、あわせて確認してみてください。動画だとまた、違う結果が得られるかも……!?

 

 

(おわり)

宇内 一童(Twitter:@EinsWappa

コンテンツメーカー「ノオト」 (外部サイト)所属のライター・編集者。平日毎日更新のお馬鹿サイト「オモコロ」(外部サイト)で活動中。気さくな人柄。

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