このクソ「セクハラ」ドラマを垂れ流していいんでしょうか?/『人は見た目が100パーセント』第二話レビュー

2017/4/22 01:00 messy

 『人は見た目が100パーセント』公式サイトより 『人は見た目が100パーセント』公式サイトより

ドラマ『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)、第二話レビューでございます。本ドラマのレビューは、お化粧をしたこともなければ女性でもない立場でドラマ班:デッチンさんに書いていただく予定でしたが、諸事情により、お化粧経験のある33歳女性のドラマ班:下戸が第二話を鑑賞・レビュー執筆させていただきます。ご了承ください。

さて、初回視聴率は9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と可もなく不可もなく、フジ的には合格ラインだと思う数字だった同作ですが、第二話は6.4%と大きく落としました。でもこのくらいがちょうどいい、失礼ですけど妥当だなと感じています。このドラマが10%以上の視聴率を獲得したり、ブームになったりしたら、ちょっとおかしいとさえ思いますもん。

八王子の製糸研究所に勤めていた3人の研究職女性・城之内純(桐谷美玲)、前田満子(水川あさみ)、佐藤聖良(ブルゾンちえみ)は、保湿効果が高く新たなファンデーション開発の要となる貴重な繊維素材「セルロースなのファイバー」の開発が認められて丸の内にある大手化粧品メーカー「クレエラジャパン」に研究室ごと異動することになり、「化粧品会社なのでたとえ研究員でも高い美意識を持つべし」という“過酷な掟”に従わざるを得なくなります。

これまで美容やファッションに背を向けてきた、自称・女子になりそこねたヒト科の「女子もどき」である3人が、お洒落を研究し、「女子力」を身に着けようとするラブコメ……なのですが、よくこの企画が通りましたねって正直、不思議に思うんですよね。だって、クソセクハラストーリーじゃないですか? クソセクハラ全肯定しちゃう感じですか? セクハラをこんなに肯定的に描いちゃっていいんでしょうか。

▼「呪い」を強化し、女性をバカにしているようにしか見えなかった『人は見た目が100パーセント』/第一話レビュー

女性社員にキレイを強要する会社

「ステキ女子」である庶務課の女性社員・岸根香澄(足立梨花)、森村美優(岡崎紗絵)にクレエラジャパンの丸の内オフィスを案内してもらう純たちは、そのスタイリッシュな空間に圧倒され、「いるだけで体力を奪われそう」と息苦しさを感じます。岸根は「社内行事のことや会社の雰囲気などは私のインスタを見てもらえればわかります」とアカウント名を教えるのですが、そのインスタはリア充ステキ女子そのもので、バーベキューやお花見やオシャレなレストランでの食事会、ハロウィンナイトにクリスマスディナークルーズなど、華やかそのもの。庶務課のキラキラ女子は毎晩いろんな部署の男たちにごはんを奢ってもらっているそうです。

女子モドキたちは「私こんな人たちと一緒に食事なんて出来ません!」と焦りますが、えっと……うん、参加しなくていいんじゃないですかね? やたら「私たちこんなんじゃ、丸の内OLに太刀打ちできない!」とか絶叫する女子モドキたちですが、太刀打ちしなくていいじゃん。そりゃ確かに第一話で「化粧品会社で働く人間らしくキレイにしてろ」と通告されてましたが、そんなアホな業務命令に従う必要ないですよね。セクハラですって労基署に訴えていいやつ。ってそれを言っちゃったらドラマの設定が成り立たないかもしれないですけど(原作はそういう設定ではなかったです、ちなみに)。

あと、ステキ女子/キラキラ女子の描き方もイヤな感じあるんですよねえ。フツーの人間は毎晩あちこちで飲み歩くほど肝臓強くないしヒマでもないですよ。ステキ女子も家でごろごろLINEマンガ読みたい夜はある、いや読んでるんじゃないかな実際。そういう「SNSに載せてないところ」は誰だってあるじゃないですか。載せてるところは「見せてアピールしたいところ」なんだから全部じゃないわけで。彼女たちが「意図してやってるだけですよ」「無理する必要ないんじゃないですか?」と女子モドキたちに種明かしする展開、原作ではサラッとあるんですけど……ドラマのほうは「私たち素でキラキラなんで」「女子ならちゃんとしてくださいね!」って女子モドキに強制してますよね。そうそう、そもそもビューティー研究の動機が、“強制”になっちゃってるんですよ。一番やっちゃいけない改悪だと思いました。

お仕事泥棒!

週末に親戚の結婚披露宴に出席する純は、その披露宴にクレエラジャパンの凄腕統括マネージャー・松浦栄子(室井滋)が出席すると知り動揺。松浦さんはもともと化学分野の研究者で、純の尊敬する人でした。それを知っている同僚(Not女子モドキ、白衣の下はスカートとハイヒールを着用している)から「憧れの人の期待を裏切らないよう(ドレスアップを)頑張ってくださいね」と声をかけられて、パーティードレスやクラッチバッグ、アクセサリーなどを調達して「パーティーファッションの研究」に励むのです。

って、おい。意味わかんないです~。親戚の結婚披露宴に出席するにあたって、どうして上司の「期待」に応えた装いをしなきゃなんないの? いや、どうして部下のファッションに上司が「期待」するの? それ仕事での期待となんか関係あるか? これは批判じゃなくて、それ以前の純粋なギモンです。イチ社員で、ただの招待客なのに(主役じゃないどころか超脇役でいい日じゃん親戚の結婚式って)、同じくただの招待客である上司に「ドレスアップした姿をお見せする必要性」あります~? 話が無理矢理すぎ、脚本破綻してますよ。

レンタルドレスショップの店員に「快適さと美しさは必ずしも一緒に成立するものではない、おしゃれは我慢ですから」と言われ、念仏のように「オシャレは我慢、オシャレは我慢……」と唱える純。庶務課にプロの美容師にヘアメイクしてもらえと提案され、パーティー当日に人気美容室・ルーチェの美容師・榊圭一(成田凌)にヘアメイクをしてもらうことになりましたが、直前で逃げ出してしまい、結局いつも通りの一つ結びヘアとメガネ、紺色のワンピースにパールアクセとハイヒールという無難な格好で披露宴に出席しました。

その装いの純を、松浦は全身じろじろ舐めまわすような目で見て、「冴えない」と酷評。さらに、丸の内に異動してから単純な基礎計算の仕事しかやっておらずセルロースナノファイバーの研究が滞っている純が、「開発はいつから再開するんですか?」と訊ねると、松浦はまったく悪びれることなく忌々しげに言い放ちます。

「再開? 続行してますよ。他のスタッフが引き継いで開発部と連携とってます。仕方なかったのよ。私が欲しかったのは解析データ。あなたたちは仕方なく引き取ったの。申し訳ないけど、私あなたたちみたいな人が大嫌いなの。そんな冴えない格好でオフィスをうろつかれると目障りなのよ」

……この会社のハラスメント半端なくないですか?? メディア全体が女への「きれいになれ」大合唱でそれ自体がハラスメント社会そのものだとは思うんですけどね。仕事も恋もしなきゃダメですか?

大ショックの純。そりゃそうでしょう。来たくもない丸の内に異動させられ、おまけに打ち込んでいた研究は奪われ、「冴えない。ちゃんとしろ(=キレイになれ)」とうるさく言われ、あんまりな状況です。

恋愛経験がないし奥手だし「恋愛しなきゃ結婚できないなら結婚しなくていい」という純は、「ずっと仕事して生きていく」つもりです。なのに、仕事も奪われたわけで。ああ気の毒。結婚や恋愛に関するハラスメントもすごいんですよ、このドラマ。親戚のおばさんに「次はあなたね。お付き合いしてる人はいるんでしょう? お年頃なんだから結婚しないとね」と言われて「結婚なんてどうせ諦めてます」と返す純ですが、ドラマとしては<そんなぁ~、諦めちゃダメっ! ステキな恋、しましょ?>ってテンションなんですよね。純が恋愛せず結婚もしないことを、ドラマは許してない。松浦も、純のこの発言を聞いてイラッとした様子です。おそらく「どうせ諦めてます」ってところがダメなんでしょうけど、いいじゃないですか結婚や恋愛をしたくなくたって。しなくていつか後悔することがあったとしても、それもまた人生ですよ。ほっといたれよ。

いいえ、ほっといたらドラマは次の第三話に進めません。というわけでラストシーン、散々なパーティーを終えて大手町から地下鉄に乗ろうというところで、純は例のイケメン美容師と偶然出会います。その日のヘアセットの予約をドタキャンしたにもかかわらず純は料金を支払っていたので、美容師は「会えて良かったです、お金お返しします。このお金でもう一度いらしてください」と営業トーク。のみならず、イキナリ彼女の前髪をさわり(距離近すぎるよ)、

「店でも思ったんだけど、きれいな髪ですね。久しぶりにこんな純粋な黒髪みました。とても素敵です。大事にしてくださいね(にこっ)」

成田凌の美容師の演技上手~。こういう喋り方するよねえ、営業トークのとき……と感心しました。普段は町の床屋さんで髪を切っており、美容師の営業トークなんて知りもしない純はしかし、この言葉に胸を射抜かれてしまいまして、恋に落ちてしまうのでした。どうなる、次回!? ……いや、全然気になりませんけどね、次回。恋セヨ乙女、キレイになろう☆ ってことなんでしょうけど、いつまでこういうドラマ作ってるんだろう。役者さんは誰一人悪くないですが、視聴率2%まで落ちて打ち切ってほしいです。

(ドラマ班:下戸)

▼「呪い」を強化し、女性をバカにしているようにしか見えなかった『人は見た目が100パーセント』/第一話レビュー

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