「読者モデルの、その先へ」読モ・田中里奈が描く未来

2017/4/5 19:01 ネタりかコンテンツ部

ライターのカツセマサヒコです。

 

突然ですが、将来不安じゃないですか?

 

「20年後には今の職業の何%かはなくなっている」とかの話題を目にするたび、ああ、僕は将来食っていけるんだろうかと、ネガティブ・スイッチが激しく発動します。

ライター業の僕でもこうなのだから、「子役」や「モデル」のような“若さ”や“容姿”を武器に仕事をしている人たちは、きっともっと不安に思っているだろうし、だからこそ普通の人以上に、いろいろなことを考えていそうな気がします。

 

では、それらの持っていた武器がなくなったとき、人はどのように生きるべきなのか。

読者モデルとして10年以上のキャリアを持つ田中里奈さんに、お話を聞いてみることにしました。

 

 

田中里奈(たなか・りな)

青文字系ファッション誌を中心に活躍中のモデル。コーディネートセンス、ヘアスタイルは原宿系のトレンドに敏感な若者達からカリスマ的な人気を誇る。近年は雑誌のモデルの枠を飛び越えファッションイベントや、企業ブランドのデザインに参加するなど、様々なステージで活躍している。

(所属事務所ASOBISYSTEMプロフィールより抜粋)

 

その瞬間、その年齢でしかできないことを、大切にする

 

ーー 今日は「読モ」というキャリアを10年近く積まれた田中さんに、「その先」の話をお伺いしたいんです。

 

ありがとうございます。よろしくお願いします。

 

ーー 語弊を恐れずに言いますが、「若さ」や「容姿」という武器は、いずれ失われていくものだと思うんです。田中さんは、既にZoffやワコールといった企業とのコラボ商品のプロデュースや自身のジュエリーブランドのクリエイティブなどにも携わるなど、既にモデル業以外のステージで活躍されていますが、そのうえで「何歳までは読モでいよう」とか、決めていることはあるのでしょうか?

 

全然決めていないんです。

辞めようと思ったらいつでも辞められるものだし、わざわざ期限を決めるものでもないと思っていて。

 

「この先、何になるんですか?」とか「いろいろな仕事をやっているけど、何に決めるんですか?」とか、よく聞かれるんですけど、何かひとつに絞ること自体が、今の時代では勿体ない考えだと思っているんです。

ひとつに決めることで、自分が縛られたり捉われたりしてしまうのはもったいない。「できること、やれることは、いっぱいあっていいじゃん」と思っていて。

もちろん、ひとつの目標に向けて地道に努力を積み重ねることは素晴らしいと思います。でもわたしは、ひとつに決めつけちゃうと、理想にそぐわない自分になったときに、自分のことを嫌いになっちゃいそうだから。

 

 

ーー でも田中さんの場合、学生時代からずっと小学校の先生になりたくてきちんと教員免許も取得していて、まさに「ひとつの夢に向かって努力していた人」だと思うんです。

 

そうですね。だからこそ、「教師にならない」と決めてから、自分自身を許せなくなった時期がありました。

 

ーー そうだったんですね。

 

今は、現在のお仕事に縁があったと自信を持って言えるんですけど、当時はとてもそうは思えなくて。だから、時が経って「その時の選択をした自分」を受け入れられたとき、今度は「教師になる」と決めつけていたこと自体に、疑問を覚えるようになったんです。

 

ーー 乗り越えた結果、柔軟な考えが持てるようになったんですね。

 

そうですね。それからは、そのとき、その瞬間、その年齢でしかできないことを、大切にするようになりました。

たとえば、5年前に「ウエディングの仕事がしたい」と思っても、25歳のわたしでは年齢としてまだ少し早いし、ウエディングのイメージを伝えることができなかった。でも、この歳になった今ならできるようになって。

人生には同じ瞬間って絶対に巡ってこないから、「そのときだからできること」や「そのときの自分だからいいと思えること」を大事にしたほうがきっといい。それらを公私ともに深く味わっていけたら、何ひとつ、過去や現在に後悔は生まれないと思うんです。

 

ーー じゃあ、「そのときだからできること」を大切にするという意味では、田中さんは今後、歳をとることを楽しみにしている……?

 

めちゃめちゃ楽しみです! 30歳になるのもすごく楽しみにしていて、「やっとなれた!」と思ったくらいで。

 

ーー それ、意外すぎました。「読モ」という言葉から想像するに、ずっと若くいたいのかと思っていたので……。

 

27歳くらいのときは「まだ20代終わらないの!?」と思っていたぐらいだったんです。歳をとるたびに、「その歳だからできること」は出てくるから、それらをきちんとやっていきたいと考えたら、歳をとること自体が楽しみになっていきました。

 

それでも「読モ」を名乗る理由

 

ーー 幅広い仕事をこなす一方で、田中さんは肩書きとしては「読者モデル」を名乗っていますよね。その肩書きによって、田中さん自身のイメージが固まってしまう気がするのですが。

 

本来、「読モ」は名前のとおり「誌面にモデルとして出ている読者」を指していたと思うんですけど、メディアやネットの普及とともに、その言葉の認知度と役割の幅が広がって、新たな概念ができていると思うんです。

でも、年上の知人からは「読モって名乗るのそろそろ辞めてもいいんじゃない」って言われることも結構多くて。きっと「読モ」という言葉に、少し軽いイメージがついているせいだと思うんですけど。

 

ーー わかります。ネットの文脈的には「読モ(笑)」という雰囲気が持たれがちのような……。

 

そうですね。だから過去に「読モ」って自称していた人たちは、「ブロガー」とか「インフルエンサー」とか「インスタグラマー」って肩書きに変えた人も多いです。

 

ーー その中で、田中さんが「読モ」という言葉を選ぶ理由は……?

 

自分を一言で説明するときに、自分自身のルーツを大事にしたいからです。

もしもわたしが「芸能人になりたい」って思っていたら、今みたいな環境には絶対にいなくって、「読モ」だからこそ、いろいろなお仕事をやらせてもらっているっていう自覚があるんです。

大学時代に「読モ」という仕事と出会って、「どんな生き方をして」とか「どんな服を着こなして」とか、いわゆる“セルフプロデュース”の需要が高いときにわたしを取り上げてもらえていたことで、今へとつながっているし。ルーツである「読モ」という言葉を、その点では大事にしたいと思っているんです。

 

 

ーー でも、「読モ」と言いながら、いまはモデル業よりもプロデュース業のほうが多いですよね?

 

人間ってカテゴライズすることで安心するから、「この人は何者なんだ?」と疑問に思ったままでいることを嫌がるんですよ。そういう人たちを安心させてあげるためにも、肩書きは必要なんだと思っています。

実際は読モといったあとに、「アクセサリーのブランドをやっています」、「企業とコラボして商品を出しています」、「小説書いています」、「本も出しています」、「環境省のプロジェクトメンバーにもなっています」と、一個一個仕事を紹介しなくちゃいけないんですけど……。

 

ーー 切り口はあくまでも「読モ」。でも、それだけじゃないということを毎回説明されているんですね。

 

自分をまとめて表現する上手い言葉が見当たらないんですよね。

やっぱり言葉がないと概念って生まれないから、新しい肩書きを作ってもいいかもしれないですけど、それはそれで浸透していないからこそ説明が必要になったりしそうで。

 

ーー 結局イチから説明することになるのなら「読モ」でいい、ということでしょうか。

 

そうですね。そこから本当にわたしという人間を気になってくれた人だけ、もっと聞いてくれたり、調べてくれたりしたらいいかなと思って。結局わたし自身は、肩書きに縛られずにいろんなことをやっていくことに変わりないので。

 

おわりに

 

田中里奈さんが考える読者モデルの「その先」とは、何かひとつのことに縛られるのではなく、そのときそのときに自分ができること、やりたいことをやること。

言葉にすると簡単ですが、毎日を全力で生きていかなければならないし、周りに流されずに自分の好奇心や感性を信じる、強い心が必要な道だと思いました。

 

筆者である僕も、同い年で30歳という節目の年。

今後の生き方について、改めて考えさせられる取材となりました。

 

今の自分の“その先”、もう一度見つめなおしてみようと思います。

 

おわり

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