モーションキャプチャの演技って難しいの? 『龍が如く』主人公を演じる役者さんに聞いてきた

2016/11/14 19:01 ネタりかコンテンツ部

こんにちは、ライターのナッツ(@nuts612)です。

皆さんは『龍が如く』というゲーム、ご存知ですか? 今年12月に最新作が発売予定の超人気シリーズなのですが、予告動画に出てくる人物の動きがめちゃくちゃリアル!

 

 

こういった動画は “モーションキャプチャ” という手法を用いて作られています。役者が動きを演じ、それをアニメーションに落とし込んで制作されているそうですが……モーションキャプチャって実際何なんですかね?

たまにテレビとかで見かける“緑背景の部屋で、身体にいろいろ付けて撮影するやつ”ぐらいのイメージしかないですよね……?

 

というわけで今回、『龍が如く』の主人公・桐生一馬を演じる三元雅芸(みもとまさのり)さんに、モーションキャプチャについてお話を伺いました。

 

モーションキャプチャってなんですか? 三元雅芸さんに聞いてみた

三元雅芸

 

ーー 本日は宜しくお願いします。早速なんですが、モーションキャプチャの演技ってどんなことをするんですか?

 

三元:百聞は一見にしかず、ということで、まずはこちらの動画をご覧ください。

 

 

こちらは今年の夏(2016年8月)に出たPS4/PS3ゲーム『戦国BASARA 真田幸村伝』で、僕が主人公の真田幸村を演じているVコンテです。Vコンテとはビデオコンテ、つまり絵コンテの動画バージョンですね。

実際のゲームの動画と見比べるとわかると思うのですが、僕たち役者が演じている動きが、そのまま再現されています。撮影の本番では身体中に「マーカー」と呼ばれる反射材をつけ、コンピュータに動きを認識させるんです。

こうやって人の動きをデジタル化させるのが「モーションキャプチャ」という手法です。

 

ーー ただ動くだけでなく、実際のゲーム内と同じように台詞も喋るんですね。

 

三元:そうなんです、だから役者はしっかりと台詞を覚えてから撮影現場に入ります。しかも全身の動きのモーションキャプチャを撮る撮影と、顔だけを撮る「フェイスキャプチャ」という撮影があって、同じ台詞で2回やらないといけないんですね。

 

ーー モーション以外に……フェイスも?

 

三元:というのも、撮影後はそのデジタルデータをCGデザイナーさんが編集していくのですが、役者が動いてなかったら、その分のデータをつくらなきゃいけない。それだとデザイナーさんの仕事がすごく増えちゃうじゃないですか。

でも、役者のほうが大げさなまでに動いていたら、編集はしやすいですよね。だからモーションキャプチャでは動かせるところは全部動かします、目も眉も。

 

フェイスキャプチャ

 

「ゲームに命を吹き込む仕事」なぜモーションキャプチャは必要なのか

ーー でも、プレイヤーは普通そこまで細かい動きに注目しないじゃないですか。なぜモーションキャプチャは必要なのでしょうか?

 

三元:ゲームに命を吹き込むと言いますか、人が演じることで、微妙な身体の反応がある意味ノイズとして生まれるわけです。だから、無いとやっぱりどこか味気ない感じになってしまうんですね。

あと、肩を動かすくらいの呼吸をしながら話したり歩いたりって、モーションキャプチャ無しで作ろうとするとやっぱり大変。だからこそ人間が演じないといけないだろうし、その結果プレイヤーもゲームの世界に入り込めるようになるわけです。

そして、モーションキャプチャをやるためには、 “エモーション” が必要だと思っています。

 

ーー エモーション、つまり感情ですか?

 

三元:キャプチャは「捕まえる」って意味じゃないですか。動きを捕まえるから、モーションキャプチャ。

でも実際は「こういう動きをしたら、このキャラっぽく見えるよね」といった感じで、キャラの性格に合わせて演技をする必要があります。

たとえば『龍が如く』では、プレイヤーの方々は「カッコよさ」を求めてる。そうなると、カッコいい動きを演じなくちゃいけない。ただキャラの動きだけを演じればよいのではなく、実写の作品に携わるように、感情優先で芝居をやっていく必要があるなと。

だから僕はモーションじゃなくて “エモーション” キャプチャ、と思っていつも現場に臨みたいなと思っています。

 

三元雅芸

 

ーー なるほど、奥が深い世界ですね。三元さんが「エモーション」を表現するうえで意識しているのは、どんなことですか?

 

三元:「普段から嘘をつかない」ことです。

人って泣きたいときでも、人前では「大丈夫、大丈夫」って作り笑顔をしたりするじゃないですか。でもそういうのを繰り返していくと、自分の感情に素直になれなくなってくる。

カッコつけないほうがカッコいいときっだてあるわけですよ。カッコつけた顔より、すごく顔が歪んで必死になっている表情のほうが、カッコいいと感じられたりするものなんです。

そういうのって表現しようとしてできるのではなく、自分の内面がポンっとぶちまけたときにカッコいい、現実味を帯びるお芝居になると思っていて。だから、嘘をつかないというのが大切だなと。

 

「“馬が20mの高さを飛ぶ”的な、漫画みたいな場面を演技する」モーションキャプチャならではの表現

三元雅芸

 

ーー 普通の演技と違って、モーションキャプチャの演技だからこそ難しいことってどんなことですか?

 

三元:演技のとき、脳内補填をしなくちゃいけないことですかね。たとえば、実際は暗い場所ではないのに、暗い場所にいる演技を明るいところでやらなくちゃいけない。

また、ゲームの世界なので「時速200kmで走り出す」みたいな設定の演技もあるわけですが、時速200kmで走ったら身体はどう動くかっていうのをイメージしなくちゃいけないわけです。

よいしょ、って動きはじめたら、シュッという動きにならないんですよ。だから自分の身体がどういう角度で、手の位置がどうなっているべきかなどを客観的に捉えて表現しないといけないのが難しい。でも、それが面白い部分でもあります。

 

ーー たしかに、普通のドラマ撮影では要求されない動きですね

 

三元:『戦国BASARA 真田幸村伝』のシリーズでは、馬が20mくらいの高さまで飛ぶみたいなシーンもあります。でもワイヤーとかでやるわけではなく、馬に見立てた台にまたがって飛んだり降りたりしながら、身体の動きや表情、顔の向きで表現しなくちゃいけないんです。

実際は空中にいないのに空中を飛んでいるイメージで、目線をどんどん見下ろしていって身体も前傾していく、という。だから一般の人が撮影現場を見に来たら、とても不思議な光景だと思いますよ(笑)。

 

あとモーションキャプチャの現場で面白いのは、Tポーズというので始まり、Tポーズで終わること。身体のマーカーの位置を正しく認識するために、こう手を広げてT字のポーズを取るんです。

 

三元雅芸

 

だから、シリアスなシーンを演じていて、もう感情入って「うぉぉぉ」と号泣しているシーンでも、「はい、カット!」となったらTポーズ。もう、冷静な自分に戻らされる儀式ですね(笑)。

 

ーー そのほか実写の作品の撮影と違う点は?

 

三元:1日にこなす撮影の量は、実写とは比べものにならないくらい多いですね。たとえば60分のドラマをつくろうと思ったら、普通1週間くらいかけて撮影するんですけど、モーションキャプチャだと1日でやります。

メイクも入らないし、セットもつくる必要ありませんから、現場に入って準備できたらすぐ「はい本番です」と。だから、いろいろ大変ではありますけどね。

 

ーー モーションキャプチャの仕事って、どうやってオファーがくるもんなんですか?

 

普通の映画作品と同様、オーディションがあります。シリーズものだとキャストが変わらないこともあって、『龍が如く』シリーズはもうこの3年ほどは変わってないですね。
ただ、新作品は新しい風を入れたいからということで、新しいキャストを探すこともあります。

 

ーー では最後に、これからのモーションキャプチャ業界について一言お願いします

 

個人的には、モーションキャプチャをやったことがない俳優に、もっとモーションキャプチャの現場に携わってほしいなと思っています。

僕はもういろんな作品をやらせてもらっているので、こうやったほうが絵が増幅するとか、それこそデザイナーさんが加工しやすいかなとか、自分なりの考えができていて。

たとえば腕を組でしまう動きは、マーカーが重なってしまって隠れちゃうので、10年くらい前のモーションキャプチャの現場ではNG。あとでデータをいじって腕を組んでるようにみせてました。でも、まったくやったことがない役者さんは、当然ながら平気で腕を組んじゃう。

逆に言えば、僕みたいな経験者は自分で表現に制限を設けちゃってるかもしれなくて。だからこそ、モーションキャプチャ未経験の俳優が入ってくるのは、現場に新しい風をもたらしてくれるんじゃないかな、と思っています。

 

ーー 本日はありがとうございました!

 

三元雅芸

 

三元雅芸(みもと まさのり)
1977年 大阪府出身。2008年『四畳半革命 白夜に死す』で映画主演デビュー。『AVN/エイリアンVSニンジャ』主演の他、『図書館戦争』『るろうに剣心~京都大火編~』『進撃の巨人 反撃の狼煙』『虎影』『極道大戦争』などの多数作品に出演。
また、活躍の場は日本にとどまらず、中国映画『戦神 戚継光』(監督:ゴードンチャン)『追捕MANHUNT』(監督:ジョン・ウー)などの出演作品が公開待機中で、海外からもそのアクション演技が注目を集めている。
ゲームでは『龍が如く』シリーズや『戦国BASARA 真田幸村伝』などのモーションアクターとしても活躍。新作『龍が如く6 命の詩。』は2016年12月発売予定。

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