【第6回】小明の「大人よ、教えて!」“逆”人生相談 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」
2009/10/26 20:24
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最下層アイドル奇跡の対談がついに実現!
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[今回のお悩み]
「墜落とか最下層とか、もう......」
──著書『最下層アイドル』(WAVE出版)の出版おめでとうございます! っていうか、ちょっと前に出た私の本も『アイドル墜落日記』(洋泉社)だから、ちょっとイメージがカブってるんですけど(キレ気味に)!? だいたい天下の秋元康プロデュースなのに最下層だなんてねえ......。
大堀 (さえぎって)ありがとうございますー! 小明さんの本、本屋さんですごい見ますー!
──......ホントですか!? あ、底辺アイドル的なくくりで並べられているんですかね?
大堀 それが、私の本はあんまり置いてなくて......。
──それはすでに売れちゃってるんですよ! どうせガンガン売れ残っちゃってるんですよ、私の本だけ! 知名度ないから! ホントの最下層だから! あ、結局は自慢ですか!?
大堀 いやいや、ちがうんですよ! あの、小明さんの本を読ませていただいて......ほら(大堀マネージャー、小明本を持って無邪気に微笑む)。
――えっ! (態度急変)大堀さん......なんて良い人! なんかすみませんでした......。
大堀 小明さんは、ほんとにいろんな大変なことをされてて、すごいなぁって(にこやかに)。
――いやぁ、あの、失礼なことを言ってすみませんでした! だって大堀さんって天下のAKB48じゃないですか。それなのに『最下層アイドル』だなんて......「何が最下層か! 私のほうが沈澱している!」と憤って読んでみたのに、共感するポイントが多くって......。
大堀 わぁー、ありがとうございます!
──AKB48の選抜メンバーに入れずに、AKB48のカフェでバイトして、劇場では先に出世した同期の代役をする劣等感とか、めちゃめちゃ感情移入してしまいました......。
大堀 本当に、2年間くらいはどん底でしたよ。やっぱりAKB48は最初にチームAさんが一生懸命レールを敷いてくれて、チームKの私たちはずっとその先輩の背中を見てきたので、チームAさんがメディアに出るのは当たり前なんです。でも、気づいたらチームKのチームメイトもメディアに出ちゃってて......そうするとやっぱ、焦ってきちゃったり。
──ですよね! 先輩の出世は普通なんですけど、同期の出世って無性に焦ります!
大堀 ね! 選抜メンバーを選ぶときも、「次は自分かな?」とか、ちょっと期待も持ってるじゃないですか。
──でも選ばれないもどかしさ! 現状のAKB48の研修生にもそういう子はたくさんいますよね、きっと。
大堀 そうですね。だから、今の研究生の子を見ていると、やっぱり昔の自分を見てる気がする。ただ、私から「頑張ってね」って言われるのは、その子にとってもっとつらいんですよ。たとえば私が、同期の麻里ちゃん(大堀が劇場で代役をしていた篠田麻里子)に「頑張ってね」って言われるのは、すごくつらいことだし......だから「一緒に頑張ろうね」って言葉が一番いいのかな。本当に感謝しているし、私も周りの人に支えてもらっていたので、ちゃんとパートナーにもそれを伝えたいです。
――後輩や研修生の子たちとは、けっこうそういう話もするんですか?
大堀 たまに本当に深く話すんですけど、私と話してるとみんな泣くんですよ。わーって泣いて話したりとかするから、「ああ、そんなつらかったのか」とか、「いろいろ悩んでるんだろうなー」って......。
──ちゃんと信頼関係が築けてるんですねー。私、泣きながら相談なんてされたことなんて生まれてから一度もないですよ......。
大堀 ......えっと、でも研究生たちが頑張るのって当たり前なんです。そこで、「大丈夫? 無理しないでね」っていうのが普通の人だと思うんですけど、そこで休んだらまた一緒の繰り返しになってしまう。だって、無理をしないと上がれないのがAKB48なんですよ?
──おお!
大堀 だから、熱が出てる子に対しても、ちゃんと手を握って、「今、ちょっと頑張って無理すれば、絶対あとから結果がついてくるから、無理してもやりな!」って言うんです。それは私がそうしてきたから言えることだし。でも、それを言うと、「初めてそんなこと言われました」「ドSですね」って......。
──あはははは! 珍しいタイプの先輩なのかも! 私だったら他人事だと思って笑顔で「無理しないでー」って言ってしまうだろうなぁ......。
大堀 他よりちょっとでも前に出たいんだったら、人より無理しなきゃ絶対ダメよ! どこかでは頑張らなきゃいけないんだから!
――大堀さんが言うと深みがありますねー。
――やっぱり"大堀めしべ"として「甘い股関節」でAKB48初のソロデビューのときは大変じゃなかったですか? 具体的なことは本にも書いてありましたけど、ほかのメンバーからいろいろ言われて、つらい思いもされたそうですね......。
大堀 "大堀めしべ"のときは自分に余裕がなくて、悪い部分ばかり見えちゃってましたね。なんて言うか、AKB48のみんなは仲間でもあり戦友だから、その子がつらいときは助けてあげたいし、私も助けてもらってるし......けど、やっぱりひがんじゃう子もいて。
──ついにAKB48の内部抗争っすか!?(わくわくしながら)
大堀 いや、逆にもっと愛を返したら、その子はどうなるんだろうと思って。
──おぅ?
大堀 そうすると、その子がわかってくれて、「やっぱりあなたって素敵ね」って言ってくれたりして。ひがんじゃってた状態からそう言えるってすごいと思うし、そういうメンバーの良いところを見ていかないといけないし。
──人間が出来てますなぁ......。でも、その時期は本当につらそうでしたね、本来いちばん支えてほしいAKB48ファンからも「なんでよりによってお前がソロデビューなんだ?」「AKBの面汚し!」とか攻撃されて......。私の人間性が貧しいからかもしれないんですけど、私、こうやって言われたことって、めちゃくちゃ憶えてますよ。
大堀 私も憶えてます! すごく! だけど私の中に『アンチ上等』っていうのがあって。
──なにそれかっこいい!
大堀 アンチの方がいてくださるっていうのは、やっぱり、自分を注目して見てくださってるわけじゃないですか。誰の脳裏にも焼きつかないで、さらーっと消えちゃうのが一番ダメなんです。良い悪い、どちらに分類されてでも残ったほうが良い。でも、「かわいいね!」って言われたりするのは良いほう、やっぱり若い子たちになっちゃうので......。
──「かわいいね!」っていうのは、もう、そういう担当がいますもんね......。
大堀 そうそう。だから、それなら真逆でいいやって、逆にアンチがくると燃えちゃう(笑)。
──ハートが強いです! やっぱり学生時代にいじめに遭って鍛えられたんでしょうか?
大堀 昔は自分が弱いっていうのもわかんなくて、普通だと思ってたんですけど、いじめに遭って左手首に蛍光ペンで線を引いているのを母親に見つかっちゃって、「あなたは心の弱い子だから、もっと強くなりなさい」って言われて、それから徐々にいろいろなことに対して立ち向かわなきゃなって、たぶん逃げてたんでしょうね、ずっと。
──手首を切らずに蛍光ペンで線を書くだけなのが十分前向きですよ。私はもうほんと完全に逃げ回ってる人生で......。
大堀 あははは!
──もう、なんか逃げ続けてれば、逃げてることがそのうち道になるんじゃないの? くらいの気持ちで逃げてますけど、なかなか逃げ切れないし、逃げ疲れるんですよ。
大堀 きゃははは!! いや、でもそれくらいの気持ちのほうが良いのかも!
――「甘い股関節」とコラボ企画の『妄撮』が発売されたときもかなり大変だったみたいですね、セクシーすぎてお父様が激怒で。
大堀 そう、親には絶対、「グラビア=AV」っていうのがあるんですよ。
──そうなんですよね、「露出度が上がる=娘が危ない!」みたいな。まぁ実際に危なくないっちゃ嘘なんですが。
大堀 うん、「あんたAVだけはダメだよ」っていっつも言われてて......ほんと、一枚脱ぐだけで、もう「AV! AV!」って......。
──ちょっと極端ですよねぇ。
大堀 ねぇ。でも、そう言うとAVの方に失礼じゃないですか、頑張ってる方もいらっしゃるので。だから母には「みんな頑張ってる職業なんだから」って伝えるんですけど......。
――そこにまで気を使うと、親は「やっぱりAVやるのか!」って余計心配しますよ!
大堀 私は私の仕事があるし、もしAVに誘われたってちゃんと断るし大丈夫よ、と伝えてはいるんですけど、やっぱり心配みたいですね。
──そりゃそうでしょう......。ここで、「AVなんか絶対行かないよ!」って言ったらAV女優さんに失礼ですけども、我々、アイドルじゃないですか。あ、我々って言っちゃった。
大堀 あははは! そうですよ、我々ですよ!
──我々、いちおうアイドルを志して足を踏み入れた人間がAVに行くのと、AV女優で一旗上げるぞ! って人間が最初からAVに行くのとって、大きく違うじゃないですか。そういうのって第三者にはうまく伝わらないんですよね......。
大堀 うんうん。だからか、たまにブログとかのコメントに、「お前もうAV行けよ」みたいな書き込みもあるんですけど、「AVの人に失礼よ!」って思うんですよね、すごく。
──大堀さんでもいますか、そういうこと書く人! ああー、もう、そういうファンの人との距離のとり方も、すごい難しいですよね。
大堀 うーん、難しい。でも握手会とかで、ちょっとつらいことを言われたこともあったんですけど、「でも、逆に考えたらここまで私のことを考えてくれてるんだ!」と思ったんですよ。ここまで考えてくれたんだったら、まぁ飲み込むかぁー! みたいな。
──器がでかいっすねー!
大堀 あはは! 「ありがとう!」ですよ! ただ......。
――ただ?
大堀 ただ、ファンの方が、例えば、お家の近くにいたりとかする場合も、やっぱり、あるわけじゃないですか。
──おおー! あんまりないですけどね! あったんですか!?
大堀 一度あったのが、目の前をずっとうろちょろしているので、「あ、おかしいな」と思って、何度曲がっても間違いなくついてきていて「あら〜?」と思って......。
──いかにして巻くか、みたいな? 通報ですか?
大堀 あは! とりあえず目の前に行って「本当に申しわけないんですけども、あのー、やっぱり、これは違いますよね?」って言ったら、その方も泣いて「はい!」って......。
──うひゃああー、直談判!
大堀 「ほんとに、気持ちはうれしいですよ!」って言って。
──優しすぎ! 危ないですよ! 良い人ばかりじゃないんだから!
大堀 うーん、どうしようーって思いながらも、やっぱりこんな自分を応援してくれてるっていうのは、すごくありがたいことだから、どうにかこう、傷つけないように、「劇場でまたお会いしましょ?」って言う形でお引取りいただいてね......。
──自己評価、低! もうちょっと天狗になったほうが自己防衛にもなりますよ! でも、私の『アイドル墜落日記』が底辺をうろつくダウナーなネガティブ本だとすると、大堀さんの『最下層アイドル』は処世術が取りばめられたアイドルの自己啓発本に近いですよね。そう考えると私の本って何の役にも立たないなあ......。
大堀 あっはっは!
──いやぁ、勉強になりました。実は私、「甘い股関節」のポスター持ってます。CDもあるし、実はAKBの中で大堀さんが一番好きです!
大堀 えー!! うれしい!!
──あの、私、AKB48には常に憧れを抱いているので、憧れるがあまり、小明のスペルがAKARIなんでAKR19っていうユニットをひとりで結成して、ひとりで地味にライブをしてみるっていう完全にパクリ活動をして、イベントではAKB48のカヴァーもしてみたんですけど、曲の一番でもう息が続かなくなって解散して......。あとは『ハグ会』の代わりに、私の円形脱毛症にタッチできるっていう「ハゲ会」も企画したんですけど、余計ハゲそうで自粛して......。
大堀 いやぁー! すごい、素敵(笑)!!
──ちなみにAKR19の19は公称年齢で、まぁ、ほんとは余裕でもっと上なんですけど......。
大堀 あはははは! ぶっとんでますね!
──はい、ひとりぼっちでの活動はやっぱりさみしかったです......。
大堀 SDN48(8月20日より発足した20歳以上の新グループ)とかに、ぜひ! 入ってくださいよ!
──......言ったな? ばっちり原稿にして残してやるからな!! 次に会うときは劇場よっ!!
(取材・構成=小明/「サイゾー」11月号より)
●大堀恵(おおほり・めぐみ)
1983年、東京都生まれ。AKB劇場のカフェスタッフからオーディションに合格し、AKB48入り。その後、「大堀めしべ」としてのソロデビューやSDN48などに活動の場を広げ、今年8月『最下層アイドル』(WAVE出版)を上梓。
●小明(あかり)
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターに落ち着いている。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)が好評な昨今、懸案の円形脱毛症から産毛が生えてきた。
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