「ソウ」監督が放つ「狼の死刑宣告」は、70年代アクション映画を踏まえた傑作
2009/10/1 21:45
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「ソウ」監督が放つ「狼の死刑宣告」は、70年代アクション映画を踏まえた傑作(C)2007 HPE Rights,Inc.
【ハリウッドレビュー】
・ ハリソン・フォード、90年代の呪縛を離れ「正義のゆくえ」で新境地
・ 「サブウェイ123 激突」はトニー・スコット監督の「プロ論」を体現する
この邦題、そしてタイトルロゴ! ある世代以上……いや、真摯なアクション映画ファンなら、日本の宣伝スタッフの皆さんの粋な計らいに心で拍手したはずだ!
そう、本作「狼の死刑宣告」というタイトル(原題“DEATH SENTENCE”)は、マイケル・ウィナー監督、チャールズ・ブロンソン主演による1974年の傑作「狼よさらば」を踏まえている。原作者が同じブライアン・ガーフィールドで、内容もほぼ同じ。すなわち「家族を殺された平凡な男の壮絶な復讐劇」。最近だと、トム・ジェーン主演の「パニッシャー」(2004年)でも見られたドラマ・パターンだ。
⇒「狼の死刑宣告」作品フォトギャラリー
実のところ、「狼よさらば」の主人公ポール・カージーが活躍(というかひたすら復讐)する映画は、すべてチャールズ・ブロンソンの主演でシリーズ化されていて、「ロサンゼルス」(82年)、「スーパー・マグナム」(85年)、「バトルガンM-16」(89年)、「DEATH WISH/キング・オブ・リベンジ」(93年)の計五作ある。
しかし「狼」を邦題に使っているのは第一作目だけ。そのポイントを押さえてくれているから「狼の死刑宣告」という邦題は感激なのだ(さらに文字のフォントも同じ!)。「狼」の一語だけで、70年代アクションの匂いがぶわ〜っと立ちのぼる。ジョージ・ケネディ主演の似たような復讐劇「狼たちの影」(75 年)、シドニー・ルメット監督&アル・パチーノ主演の名作「狼たちの午後」(75年)なども、こちらの脳内に自然と浮上してくるわけである。
邦題ばかり褒めているようだが、肝心の中身も「狼」負けしていない傑作! 愛する家族を奪われた投資会社の副社長が、たったひとりでギャングに復讐を開始する。ケヴィン・ベーコン演じる主人公ニック・ヒュームは、一見普通のサラリーマンなのに、いざとなると特殊訓練を受けた軍人ばりの戦闘能力を発揮するのである。
ただし「狼よさらば」との決定的な違いは、チャールズ・ブロンソンとケヴィン・ベーコンの持ち味の違いがそのまま出ているところ。いかにも男汁ギトギトの肉食系ブロンソンに対し、ベーコンはわりと草食系で、等身大の“へたれ感”が備わっているのだ。そのキャラを考慮したのか、本作が裏打ちとして使っているのが「タクシー・ドライバー」(76年)のイメージ(やはり70年代!)。あの映画でロバート・デ・ニーロが演じたダメ男トラヴィスが、気合いを入れるため自分でモヒカン頭に刈り上げたように、ニック・ヒュームもスキンヘッドにして最後の戦いに臨むのである。まあ理屈としては、被害者であるはずのヒュームが暴力に目覚めることによって、ギャングと同じ格好になってしまうという“負のスパイラル”を象徴したものなんだけど。
監督は「SAW ソウ」でデビューした気鋭の若手、ジェームズ・ワン。本稿ではやたら70年代を連発してしまったが、ホラーやスプラッターの感性を取り入れた彼のアクション・スタイルは、もちろん今の映画ファンを刺激するハードな感触に満ちまくっているのである。 (文・森直人)
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・「サブウェイ123 激突」はトニー・スコット監督の「プロ論」を体現する
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そう、本作「狼の死刑宣告」というタイトル(原題“DEATH SENTENCE”)は、マイケル・ウィナー監督、チャールズ・ブロンソン主演による1974年の傑作「狼よさらば」を踏まえている。原作者が同じブライアン・ガーフィールドで、内容もほぼ同じ。すなわち「家族を殺された平凡な男の壮絶な復讐劇」。最近だと、トム・ジェーン主演の「パニッシャー」(2004年)でも見られたドラマ・パターンだ。
⇒「狼の死刑宣告」作品フォトギャラリー
実のところ、「狼よさらば」の主人公ポール・カージーが活躍(というかひたすら復讐)する映画は、すべてチャールズ・ブロンソンの主演でシリーズ化されていて、「ロサンゼルス」(82年)、「スーパー・マグナム」(85年)、「バトルガンM-16」(89年)、「DEATH WISH/キング・オブ・リベンジ」(93年)の計五作ある。
しかし「狼」を邦題に使っているのは第一作目だけ。そのポイントを押さえてくれているから「狼の死刑宣告」という邦題は感激なのだ(さらに文字のフォントも同じ!)。「狼」の一語だけで、70年代アクションの匂いがぶわ〜っと立ちのぼる。ジョージ・ケネディ主演の似たような復讐劇「狼たちの影」(75 年)、シドニー・ルメット監督&アル・パチーノ主演の名作「狼たちの午後」(75年)なども、こちらの脳内に自然と浮上してくるわけである。
邦題ばかり褒めているようだが、肝心の中身も「狼」負けしていない傑作! 愛する家族を奪われた投資会社の副社長が、たったひとりでギャングに復讐を開始する。ケヴィン・ベーコン演じる主人公ニック・ヒュームは、一見普通のサラリーマンなのに、いざとなると特殊訓練を受けた軍人ばりの戦闘能力を発揮するのである。
ただし「狼よさらば」との決定的な違いは、チャールズ・ブロンソンとケヴィン・ベーコンの持ち味の違いがそのまま出ているところ。いかにも男汁ギトギトの肉食系ブロンソンに対し、ベーコンはわりと草食系で、等身大の“へたれ感”が備わっているのだ。そのキャラを考慮したのか、本作が裏打ちとして使っているのが「タクシー・ドライバー」(76年)のイメージ(やはり70年代!)。あの映画でロバート・デ・ニーロが演じたダメ男トラヴィスが、気合いを入れるため自分でモヒカン頭に刈り上げたように、ニック・ヒュームもスキンヘッドにして最後の戦いに臨むのである。まあ理屈としては、被害者であるはずのヒュームが暴力に目覚めることによって、ギャングと同じ格好になってしまうという“負のスパイラル”を象徴したものなんだけど。
監督は「SAW ソウ」でデビューした気鋭の若手、ジェームズ・ワン。本稿ではやたら70年代を連発してしまったが、ホラーやスプラッターの感性を取り入れた彼のアクション・スタイルは、もちろん今の映画ファンを刺激するハードな感触に満ちまくっているのである。 (文・森直人)
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2009/10/1 21:45 更新