『おくりびと』に続け! 海外の映画祭に日本映画続々
2009/8/27 6:30
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27日から開催される第33回モントリオール世界映画際のワールド・コンペティション部門に出品される笑福亭鶴瓶主演映画『ディア・ドクター』(西川美和監督)
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■海外の映画祭への出品が付加価値になる!?
――2匹目のドジョウを狙うかのように、「○○映画祭に出品決定」を宣伝文句に使う映画が急増した気がします。
【矢田部】:1990年代後半から2000年代初頭にかけて、積極的に海外の映画祭に出品し、賞を獲って凱旋するというケースが続いた時期がありました。1997年にカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞した河瀬直美監督の『萌の朱雀』、2000年にはカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とエキュメニック賞をダブル受賞した青山真治監督の『EUREKA(ユリイカ)』が好例ですね。その熱が少し冷めていたのが、ここ数年、再燃した感じはありますね。
――今、海外の映画祭に出品する目的とは何なのでしょうか?
【矢田部】:それは国内で映画がなかなか当たりにくくなってきており、少しでも多くの付加価値を付けたいということで、海外の映画祭への出品に積極的になってきているのではないでしょうか。
――付加価値にするには映画祭自体のステータスが重要。モントリオール世界映画際はどのような位置づけにあるのでしょうか?
【矢田部】:北米において重要な国際映画祭が2つあって、その1つがモントリオール世界映画祭で、もう1つがトロント国際映画祭です。開催時期も近く、近年はトロントに勢いがあります。開催規模の大きさでも、マーケットの重要度においても、カンヌ、ベネチアに次ぐ映画祭と捉えている映画関係者は多いですね。とは言え、トロントにはコンペティション部門がなく、対するモントリオール世界映画祭は伝統的なコンペティション部門があって盛り上がります。
――オスカーへの“近道”と注目されていることについては?
【矢田部】:2つの映画祭が開催される9月は、時期的に米アカデミー賞に向けた賞レースのスタート時期にあたります。昨年、トロントで観客賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』(ダニー・ボイル監督)は、米アカデミー賞の作品賞を含む8部門を受賞していますし、モントリオールでグランプリを受賞した『おくりびと』が外国語作品賞を受賞したのは記憶に新しいですね。しかし、モントリオール世界映画祭でグランプリを受賞した作品は『おくりびと』以前にもあるんですよ。2006年には奥田瑛ニ監督の『長い散歩』が受賞していますが、残念ながらオスカーには至りませんでした。『おくりびと』はモントリオールからオスカーにつながって、凱旋上映や海外への配給が成功したレアケースだったと思います。
■米アカデミー賞と映画祭のグランプリは似て非なるもの
――著名なのは世界三大映画祭といわれる、カンヌ、ベネチア、ベルリンの国際映画祭ですが…
【矢田部】:その中でも、カンヌ国際映画祭(フランスで毎年5月に開催)はちょっと別格ですね。歴史の長さ(1946年〜)、フランスという国の映画産業に対する力の入れ方、南仏という地の利、すべてが世界の映画祭の中で飛び抜けています。しかも、カンヌ国際映画祭には巨大な映画マーケットが併設されていて、向こう1年の映画ビジネスのかなりの部分がここで成立してしまう。なので、名のある実力監督たちは映画を作ったら、まずワールドプレミア(=世界初お目見え)はカンヌでやりたいと思う。そうすることで、作品のビジネスチャンスが広がり、監督をはじめその作品の製作に関わった人たちのステータスも向上するという好循環が出来上がっているのです。
――今年のカンヌ国際映画祭には、是枝和裕監督の『空気人形』がある視点部門で上映されました。
【矢田部】:カンヌ国際映画祭に出品を希望する作品は毎年数千本もあるのに、公式上映できるはせいぜい80本という狭き門。しかも作品を選定するディレクターの好みにも左右されるので、カンヌに出品できるというだけで十分価値があると思います。
――米アカデミー賞と映画祭のコンペティション部門はどう違うのですか?
【矢田部】:似て非なるものですよ。米アカデミー賞はアメリカの映画関係者が選ぶアメリカ映画(英語映画)に対する賞とその授賞式で、一方で映画祭というのは文字通り“国際的な映画のお祭り”です。世界中から集めた映画を特定の場所で短期間に上映して、コンペティションで競わせたり、俳優や監督をゲストに招いた映画関連イベントを行ったりして盛り上がるお祭りです。しかし、日本の一般の人の耳に届く宣伝文句としては、米アカデミー賞は別格のさらに別格、カンヌといっても映画に興味のない人は知らないかもしれないですね。
――映画祭に期待することは?
【矢田部】:東京国際映画祭を主催する立場としては、「この映画祭に出品して賞を獲ったら付加価値になる」と思われる映画祭になるよう、ステータスの向上に努めたいと思います。そして、宣伝のためでも何でも、日本映画が海外の映画祭に出て行くことは絶対にいい事。海外の監督たちはどの映画祭に出品して自分のキャリアをスタートさせるか、かなり意識的にやっていますので、英語字幕をつける手間とコストはかかりますけど、日本の若い監督たちにはぜひ積極的に考えてほしいですね。
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