和食を世界に! 〜 調理学校でがんばる留学生たち 〜

2017/2/17 19:01 ネタりかコンテンツ部

2013年に和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録されてからというもの、国内のみならず海外での和食ブームは留まることを知りません。2013年に5万3,000軒だった海外の日本料理店は2015年には8万9,000軒に及び、なんとそのほとんどが外国人経営というから驚きです(外務省調べ、農林水産省推計)。

「海外では、日本料理店といっても、見よう見まねで作られた“なんちゃって日本料理”が並んでいたり、日本料理に必要な食材が入手できなかったり、本格的な和食を食べられる店は少ない」と東京すし和食調理専門学校校長の渡辺勝さんは嘆きます。

「現在、当校では18人の留学生が和食の勉強をしていますが、かなりの学生は来日前に自分の国で食べた日本料理と実際にここで学ぶ日本料理が違うことに驚いています。どの学生も将来的には本物の日本料理を自分の国の人たちに食べて欲しいという気持ちを持っているようです」

 

本格的な設備で和食の基礎を学べる

本格的な設備で和食の基礎を学べる

 

ということで、東京すし和食調理専門学校で学ぶ3人の留学生に、話を聞いてきました。

 

私の作った日本料理を食べた人に幸せになって欲しい

グェン・クェ・フォンさん(ベトナム/ホーチミン)

生魚はあまり得意じゃない。でも食べられるようになりました。

生魚はあまり得意じゃない。でも食べられるようになりました。

 

ベトナムの大学の観光学科を卒業後、ホテル勤務を経て来日しました。両親も茶道や着物、日本料理などの日本文化に興味があったので、私が「日本に行きたい」と言ったら快く送り出してくれました。2014年10月に来日、語学学校を経て、去年の4月にこの学校のすし職人コースに入学しました。この学校を選んだのは、和食だけを専門に勉強できるからです。

今は学校で勉強しながら、居酒屋でアルバイトをしています。 今はすし職人コースで学んでいますけれど、その後は和食コースでも勉強して、私の作った日本料理を食べた人みんなが幸せな気持ちになってくれるようになればうれしいですね。将来は、ベトナムで、日本料理学校や日本料理店を開けたらいいなと思っています。女性がそういう働き方をすることはベトナムではものすごく大変なことはわかっているけれど、でもやってみたいんです。

 

素材の旨味を引き出した本格的な日本料理店を出したい

金 完圭(キム・ワンキュ)さん(韓国)

韓国では、6年日本料理店で働いた後、自分で魚料理店を経営していました。商売はうまくいっていたけれど、もっとかっこいい、本格的な日本料理店をやりたいと思って、思い切って来日し、この学校の和食料理人コースに入りました。

日本では、例えばブリひとつとっても成長によって、イナダとかワラサとか名前が変わるじゃないですか。でも韓国ではブリはブリなんです。日本には大根だって、青首大根もあれば聖護院大根もある。味が足りないときはインスタント出汁を入れていました。最近は、日本のいい食材の味もわかったし、出汁のとり方も学んだので、そんなことをしなくてもいい味が出せるようになりましたね。

帰国したら、学校で学んだことを活かして、素材の旨味を引き出した本格的な日本料理店を出すつもりでいます。

 

兵役中は、部隊の3,000人分の食事を調理していた(キムさん・右)鼻にツンと来るわさびは苦手(バトオチルさん・左)

兵役中は、部隊の3,000人分の食事を調理していた(キムさん・右)鼻にツンと来るわさびは苦手(バトオチルさん・左)

 

最近、食材そのものの味がわかるようになってきた

ムフンバト・バトオチルさん(モンゴル/ウランバートル)

1年間の兵役を終え、2014年10月に来日。新聞奨学生として新聞配達をしながら語学学校に通い、2016年4月からこの学校の和食料理人コースで勉強しています。

子どもの頃から料理人になりたかったんです。兵役を終えて戻って来た後、モンゴルにある日本料理店で日本料理を食べました。おいしいことや美しい盛りつけや飾りつけにも惹かれましたが、世界で一番健康にいい料理だということを知って、どうしても自分の手で日本料理を作ってみたくなったんです。学校で勉強を始めてもうすぐ1年ですが、最近、食材そのものの味が少しわかるようになってきました。

卒業後のことはまだ考えられませんが、日本で就職して日本料理人としての経験を積みたいと思っています。

 

実習で作った「すっぽんの炊き込みご飯、蓮根はさみ揚げ、ナマコのみぞれ和え」をご馳走になりました。

実習で作った「すっぽんの炊き込みご飯、蓮根はさみ揚げ、ナマコのみぞれ和え」をご馳走になりました。

 

本物の日本料理を自分の国へ

東京すし和食調理専門学校では留学生に向けた日本語の授業はあるとはいうものの、日本人と一緒に授業を受けたり、今まで食べたことのない繊細な日本料理の実習をしたりすることは、留学生にとってはかなりハードルの高いことだと予測できます。

それでも、「日本料理が好き」「自分が作った日本料理をみんなに食べて欲しい」と笑顔で話す彼らがとても頼もしく感じました。 彼らの手によって「ユネスコ無形文化遺産」である和食が世界中に広められていく日が待ち遠しく思います。

 

(取材・文/たなかみえ)

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